うちの母親は、食事を作ってもらったら、「必ず美味しかった、有り難うと言いなさい」と、口を酸っぱくして言っていました。
どうも、うちの父親は、作ってもらっても何も言わなかったらしく、それが腹に据えかねていたようです。
父親は父親で、私に、「幸せなら態度で示しなさい」と言っていたのですが、夫婦の間では話が違ったのでしょうか。
実家にいたのは高校までで、男の子のことですから、母親には、殆ど礼は言いませんでしたが、その教えは、結婚してから役に立ちました。
結婚してからは、妻がご飯を作ってくれるたびに、礼を言うようにしています。
できたときに、「いい匂い、美味しそうだ」とか、
食べている最中も、「これ美味しい、どうやって作ったの」とか、
食べ終わった後は、「御馳走様、美味しかった」とか、色々と工夫してやっています。
実際、うちの妻は食べることが好きな分、料理も上手なほうだと思います(他を知らないので、厳密な比較はできませんが…)。
ちなみに、たまに私が作るときは、妻はお礼はもちろん、「味噌汁はあなたの方が上手になったね」などと褒めてくれます。
半分お世辞だとわかっていても、嬉しいもので、また作ろうという気になります。
毎回言っていると、言葉がインフレを起こして、値打ちがなくなるのではないかという意見もあるようですが、そんなことはありません。
我が家では、料理のときだけでなく、掃除、ゴミ捨て、洗濯、相手が家事を何かしてくれるたびに、お礼の言葉が飛び交っています。
また、本心から感謝をしていなくても、相手に感謝する態度を取っているうちに、自分の気持ちが、変わってくることもあります。
家族の間で、お礼を言うのは他人行儀だと言う人もいますが、言わないと、絶対に感謝の気持ちはわかってもらえません。
会社でも、ちょっとした仕事を誰かのためにやってあげたとき、礼を言われて嬉しくないはずはないですし、逆に何も言われなかったら、いい気分はしないはずです。
お礼を言わないからといって、気分を害しないのは、自分を産んでくれた母親だけです。
妻は、母親ではありません。
家族であれ、どんな関係であれ、一度、感情を害したら、立て直すのは大変です。
「お早よう」とか「お寝みなさい」といった挨拶が大事なように、家族でも、感謝の言葉は必要です。
また、感謝や挨拶を、言い慣れていない人は、他の人にも忘れがちです。
稀に、外面だけはすごくいいというDV夫もいるようですが、大抵の人は、家の中での態度が、外でも出ます。
逆に、店員さんに対する態度は、結婚後の相手への態度を暗示しているという話も聞きます。
家の中で言い慣れることで、社会での好感度を上げるトレーニングにもなると思って、試しに感謝の言葉を使ってみてはどうでしょうか。
お気に入りのマンガ、OL進化論の31巻の35頁に、共働きの花ムコ養成講座というネタがあります。
講師の男性が、生徒たちに向かって、「いつもありがとう」といった、相手への感謝を唱える練習をさせるものです。 それが言えなくて、離婚されてしまう男が多いというのが、講師の言い分になっています。
次のコマからは、「ごめんね、君に頼ってばかりで」とか「何か手伝おうか」とか唱えさせているように、妻だけが家事をしていることが前提なので、あまりいい夫ではないですが、それでも、何も言わないよりは、余程ましだと思います。