では妻は、自分の理想に近い結婚生活を送るためには、どうすればよかったのでしょうか。
気の毒な言い方ですが、そもそも、社内結婚したというところに、最初の問題があったと思います。
社内結婚する女性というのは、大抵の場合、相手の仕事の様子を見て好きになるわけなので、仕事のできる男性を選ぶ傾向にあります。
男性は、仕事のできない女性の涙にほだされたりしますが、女性は、上司や同僚に対して仕事上の不手際を晒している男性には、そうそう恋愛感情を抱けるものではありません。
『私の彼は仕事ができない』というマンガがありましたが、その中でも、彼氏が仕事が今一つなことで喧嘩になり、最後は、彼の仕事がそれなりに上達して、終わっています。
或いは、出会いが社内旅行や運動会など、仕事以外の場所であっても、同じ会社にいれば、嫌でも、相手の仕事の様子が目に入ります。
或いは、直接会わなくても、友人などを介して、仕事の評判を聞くこともあるはずです。
その際に、「彼は、家庭を大切にしそうなタイプだけど、あまり仕事はできないみたい」と聞かされたら、どうでしょう。
せっかくの熱も、冷めてしまうのではないでしょうか。
つまり、妻は、社内で相手を選んだ時点で、「仕事優先の人」を、選んでしまったわけです。
逆に夫の方は、社内だからこそ、忙しくて仕事優先な事情を、妻はよく理解してくれており、大抵のことは、大目に見てくれると思ったはずです。
さらに大きな問題は、夫婦間に、これほどのすれ違いがあったのに、子供を作ってしまったことです。
子供を作ってから離婚するより、その前に離婚する方が、後々の生活は、かなり楽になったはずなのに、なぜ作ってしまったのでしょう。
このような状態を避けるために、提案しているのが、お試し同棲というやり方です。
半年なり1年なりの間に、相手との相性を見極めることにより、結婚後に、こんなはずじゃなかったと悔やむ事態を、避けることができます。
これは、結婚前だけでなく、結婚後に子供を作るかどうか考えるときにも、使えます。
すぐに子供を作るのではなく、1年程度、二人きりで暮らしてみれば、相手が結婚について、どんな考え方をしているか、わかるはずなのです。
ただ、この夫婦の場合、夫が34歳で結婚(妻31歳)、娘が2歳のときに38歳で離婚したのですから、34歳から35歳まで、妊娠する前の二人だけの生活が、1年ほどあったわけです。
結婚直後は甘い夢を抱いていても、夫は仕事優先で、土日も働くような生活をしていたようですから、見極める期間は充分にあったはずなのですが。
妻にしてみれば、子供ができれば、夫が変わるかもしれないと思ったのでしょうか。
夫の方は、子供ができれば、妻は子供の世話に専念して気が紛れ、自分は仕事に集中できると思ったのかもしれません。
ですが、子供が生まれたら、結構遠いところに住んでいる妻の母が、一緒に住み込んで世話をしたというのですから、夫も妻も、相手の期待したようには変わらなかったようです。
これからの時代、イクメンであっても、妻が家を出るようなことは、珍しくありません。
上のマンガにも、いつの時代だろうというような上司が出てきますが、いつまでも昭和の価値観を引きずっていると、結局は、自分に振りかかってくる気がします。
尚、元記事の執筆者は、コラムニストであって、人から相談を受けるような仕事ではないようです。
そのせいか、事例を紹介しているだけで、執筆者の意見というものが、全く出ていない記事だったのが、残念でした。