どう考えても不思議なのだが、繰り下げ年金に反対する記事が、定期的に出てくる。
しかも、少し考えてみれば、全く割に合わないことを言っているものばかりだ。
例えば、上の記事。
FPが「70歳繰り下げは危険」と言っているとあるが、何が危険なのか、さっぱりわからない。
「年金繰り下げの場合は、繰り下げ後の受給開始年齢プラス11.9歳が損益分岐点年齢になる」というのは、その通りだ。
だから、70歳まで繰り下げると、プラス11.9歳の82歳まで生きれば貰い得である。
ただ、年金繰り下げに反対する人間は、加給年金のことばかり書いているが、それがいくらくらいもらえて、何年すれば元が取れるかというものは、殆ど見たことがない。
それで、5年間繰り下げて毎月の給付額を増やすことにより、その差を何年で埋められるかという計算を、下で行なった。
下の例だと、82歳だった損益分岐点は、85歳になる。
わずか、3年少ししか延びないのだ。
なぜか。
こういっては何だが、加給年金は、たかが年に39万円である。
今、10年も年の離れた夫婦は殆どいないと思うが、年に39万円を10年間もらっても390万円、手取りはその15%引きで332万円である。
一方で、厚生年金と国民年金を合わせた平均の手取りが、年間222.4万円。
これを、5年間繰り下げると42%増えて、年間315.7万円だから、その差は93.3万円にもなる。
毎年93.3万円ずつ多く貰えれば、332万円の差を埋めるのに、332/93.3で、3.5年しかかからない。
それでも、男性の平均寿命が81.05歳なのだから、半分は81歳までに死ぬのだし、やはり65歳からもらったほうが、得ではないかと思うかもしれない。
だが、そうではないのである。
(続く)
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