日本の年金制度は、本当にややこしい。
他国の制度は詳しく知らないが、聞いている限りでは、世界で一番ややこしいのではないかと思われる。
人によって、様々に条件が変わるから、他人の年金を参考にするのも難しい。
おかげで、こうした方が得だとか、長生きするならこちらの方がいいとか、いろんな見方が出てくる。
わざとややこしくして、FPとか税理士の仕事を増やしているのではと、思うほどである。
さて、今回は、加給年金の話である。
夫婦間で、5歳以上の年齢差があると、加給年金というのをもらえる。
10歳の年齢差があれば、10年間で、約390万円の加給年金がもらえるのだという。
ところが、この加給年金は、夫が老齢厚生年金の受給を繰り下げると、待機期間中は受け取れないのだそうだ。
だから、繰り下げ受給をせずに、加給年金をもらったほうが得だというのが、下の記事だ。
だが、本当に、そうだろうか。
これまで、ともかく繰り下げ受給をして、年間でもらえる年金額を少しでも増やしたほうが得だと、散々言ってきた立場としては、検証しないわけにはいかない。
モデルケースとして、夫が10歳年上で、妻が専業主婦、平均受給額の厚生年金をもらう場合を想定してみた。
男の厚生年金(国民年金分含む)の平均は、月に16.6万円、専業主婦の妻の国民年金の平均は5.2万円であるから、65歳から受給した場合の、夫婦の年間受給額は、261.6万円となる。
年金は、住民税などで15%ほど引かれるから、手取りは、年間222.36万円である。
妻と夫の年齢差が10歳とすると、65歳から74歳まで、年間222.36万円の手取りに、加給年金として、年間39万円が追加されることになる。
但し、追加された加給年金分にも、やはり住民税などがかかるから、加給年金の手取りは、33.15万円となる。
その累計がO列であり、70歳まで繰り下げ受給をした場合の累計がP列となっている。
グラフは、O列が青、P列が赤となっている。
(続く)