世の中の平均的な年金受給者の受給額は、年間200万円そこそこだから、20%も取られたら、まさに生活が成り立たなくなる。
だが、よくしたもので、年金額が低い層は、社会保険料と住民税・所得税を合わせて、5%程度しか取られないようになっている。
現役時代も、年金生活者も、高収入イコール高負担となることは、同じなのである。
それでも、手取り額が逆転することはまずない。
高収入の方が、手取り額が高くなるように制度を構築しないと、誰も稼ごうとしなくなってしまうからだ。
だからこそ、繰り下げ受給を勧めるのだ。
この夫婦は、負担額の重さに耐えかねているようなことを言っているが、逆に、いくらなら納得するのかというのが、疑問である。
誰しも、「年金は働いてきたご褒美」という意識があるから、全部自分のものにしたいと思っており、いくら取られたとしても、腹が立つに違いない。
尚、FP氏は記事中で、「70-75歳の保険料68万円は、夫妻の年金収入の約2割に当たる」と書いているが、夫妻の年金は522万円なのだから、この計算はおかしい。
また、「75歳を迎えて後期高齢者医療制度の対象になったとしても、負担はさほど軽くならない」と言っているが、68万円が44.8万円と、年間23万円(68万円の34%)も安くなるのだ。
34%も値引きされて、「負担はさほど軽くならない」と言い切るのは、いかなるものだろうか。
FP氏は、上記のどちらも、金額を月額で表示したり年額で、表示したりしている。
そのせいで、混乱して間違えているのだろうか
それとも、夫婦の負担を重く見せるために、あえて表示を変えて、ごまかそうとしているのだろうか。
(続く)