平均寿命で死んだ場合、繰り下げ給付で、かえって手取りの総額が464万円も減るというのは、事実です。
ですが、これは、ちょっとした数字のマジックでしかありません。
前日のブログで説明したように、年金を、65歳から受給した場合の年間手取り額は、159万円です。
一方、75歳から受給した場合の年間手取り額は269万円です。
つまり、75歳から受給した場合、65歳よりも、年間で110万円も多くもらえます(269万円-159万円)。
総額で、464万円減ると言われると、ものすごく大きな損をするように感じるかも知れません。
ですが、85歳以降は、毎年110万円ずつ、差が縮まっていきます。
464万円の差を埋めるのには、4年半しかかかりません。
そして、89歳になれば、ひっくり返り、その後は、差がつくばかりです。
しかも、森永卓郎氏のコラムでは、平均余命を65歳の時点で計算していますが、75歳まで生きた人の平均余命は、12.4年です。
即ち、75歳まで生きた人は、あと10年ではなく、平均12.4年間生きるわけで、年金をもらえる期間もそれだけ伸びます。
先ほど計算した、4年半から2.4年を引けば、わずか2年です。
平均より2年長生きすれば、元が取れるわけで、そちらに賭けた方が、圧倒的にリスクは低いというものでしょう。
(この項、続きます)