常々、年金は、できる限り繰り下げ受給したほうがいいと、言い続けている。
早死にすれば、多少は損するかもしれないが、人間、幾つで死ねるかわかったものではない。
病床で意識がなくても、生きていれば年金はもらえ、家族はその分、楽ができる。
意識だけあって身動きが取れなかったら、あといくら貯金が残っているか心配でたまらないところだが、年金さえあれば、そんな心配をする必要もない。
手元に1億円あっても、年に5百万ずつ使えば、たった20年で使いきる。
それなら、1億円を使って、65歳でもらう年金を75歳まで繰り下げれば、金額が84%増しになる。
元の金額が、年に200万円だとしたら、年に368万円、毎月30万円が、必ず入ってくるのである。
元本保証で、これほど割のいい投資は、他にはない。
もちろん、日本の財政事情次第で、多少の増減はあるだろうし、恐らく、減はあっても増はないだろう。
それでも、75歳を越えて、毎月30万円近くと言えば、まず充分な金額に思える。
夫婦で、それぞれ厚生年金がもらえるなら、余るほどだ。
これに対して、よく見かけるのが、「75歳まで繰り下げしたほうが得とは限らない」という論調である。
それに対する反論は、次の記事に出ている。
newspass.jp>給料をアップするといわれた会社員が、所得税・住民税、社会保険料が上がるので給料を上げないでほしいとは、誰もいわないと思います。繰下げ受給も、考え方はそれと似ていると思います。
つまり、社会保険料が上がって、年金の手取り額が直線的に増えないとしても、損をするわけではない。
増えることには変わりはないのだから、繰り下げられるだけ繰り下げたほうがいいということだ。
ところが、少し違う見方の記事を読んだ。
75歳の男性が、年金「受給額」を増やそうと繰り下げ受給をしたことで、医療費が3割負担になってしまい、生活が「破綻寸前」になったというものだった。
興味を引かれて読んでみたのだが、どうにも、わけがわからなかった。
この夫婦が、いったい何を失敗して、高額の医療費に悩むことになったのか、どうすればよかったのかが、全く書かれていなかったのだ。
(続く)