前の記事では、1)月々、決まったお金を天引き預金することと、2)それを使わないことが、財を為す、最も確実な方法だということを説明した。
だが、1)の天引き貯金だけでは、自分の生涯年収以上のお金を貯めることは、絶対にできない。
では、もっと貯金を増やすには、どうすればいいか。
1つの手段が、投資であろう。
だが、投資をやるにしても、リスクを減らすためには、なるべく長い時間をかけて、少しずつ行なうことが大事だ。
これを、ドルコスト平均法というらしい。
若いうちから、給与の何%かを天引きし、それを利率は低くても確実な利益が得られる方法を選んで、投資をする。
つまり、基本的には、天引き預金と変わらない。
天引きをしたお金の行先が、預金であるか、投資であるかの違いだけだ。
預金だと、利率はほぼゼロなので、天引きした額以上には増えないが、確実性がある。
投資だと、複利で預金よりも多くの額を貯めることはできるが、もしかすると減る危険性もある。
どちらの道を選ぶにしても、一攫千金など有り得ないのである。
世の中の「これを買え」という書籍やセミナーでは、景気のいい成功話が溢れている。
だが、その理論には、殆ど再現性がない。
理科の実験と違って、経済学では、全く同じ条件は存在しないからである。
たまたま、うまくいった経験を、後から理論をつけて、さも普遍的であるかのように、語っているだけだ。
2分の1の当たり籤を、10回引き当てる確率は1,024分の1であり、それに成功した人間は、実在する。
だが、その陰には、1,023人の失敗者がいることを忘れてはならない。
そして、幸運を10回当てた人間も、次の11回目で失敗する可能性は、常に存在しているのである。
何よりも、「人が、自分のやっている投資を、本を出してまで勧めるのは、いったいなぜなのか」ということを、よく考えてみよう。
これは、「いいと思ったから、他人に勧めている」わけではない。
「同じ株を大勢が買えば、値段が上がって、自分はもっと得をする」からなのだ。
そんな目論見でもないと、「私は、これで○億儲けた」などという、汗水垂らして得た貴重なノウハウを、惜しげもなくさらけ出すわけがないのである。
(続く)
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