しかも、森永卓郎氏のコラムは、話を単純化すると称して、男性の単身者の場合を例に取って、話を進めています。
即ち、女性の単身者や、夫婦のことは、考慮に入っていません。
ですが、通常は、女性の方が、長生きします。
男性は、65歳の平均余命が20年ですが、女性は、何と25年です。
ということは、女性の一人暮らしや、共稼ぎで女性が厚生年金をもらっている場合は、平均寿命で比較したとしても、繰り下げ支給した方が、総手取り額が多くなります。
また、夫婦の場合は、大抵、男性が先に死にます。
同い年の夫婦でも、男性は、平均して5年ほど先に死にます。
自分の厚生年金に入っていない女性の年金は、遺族年金となりますから、それまでもらっていたよりも、さらに少なくなります。
その、非常に少ない年金で、あとの5年間を生きなければなりません。
しかも、多くの夫婦は、男性の方が2,3歳年上ですから、残りの人生は、さらに長くなります。
自分一人の損得を考えず、遺される家族のことも考えて、慎重な検討が必要です。
もちろん、75歳まで年金をもらわずにいるには、それまでの生活費をしっかり貯めておかなければなりません。
若い間から、しっかり天引きをし、共働きをして貯めるか、或いは、働けるだけ働いて、75歳まで食い繋ぐか。
75歳までいけば、生きている限り、手取りで269万円の収入が、入ってきます。
繰り返しますが、年金は、働けなくなった老後の保証をするためのもので、蓄財が目的ではありません。
損得を考え始めると、いつ自分が死ぬのが一番得かというような、怖い話になってきます。
残念ながら、今の日本では、死ぬ時期を自分で決めるのは、不可能です。
であれば、長生きというリスクに備え、少しでも年金を多くする工夫をすることにより、人生の最後を安楽にしようというのが、本ブログの主張です。
(もう少しだけ、続きます)