さて、少ないとはいえ、月に20万円もの年金をもらえるというのに、なぜ貯金しなくてはならないのかという続きに戻ろうと思います。
先の記事では、定年後の生活を続けるのに、もらえる年金額があまりに少ないという話をしました。
ですが若い人は、今一つ、実感がないと思います。
「たとえ年金が少なくても、もらった額で暮らしていけばいいんじゃないか。どうせ、年を取ったらそんなにお金を使うわけじゃないし」といったことを考えているのではないでしょうか。
実際、子供の手も離れるし、月に20万円もあれば、夫婦2人だけの生活には充分な気もするでしょう。
ですがそれは、若い人は、60代になるということが、どういうことかよくわかっていないせいなのです。30年も前とは、全く違っていて、現代の60代は、まだまだ元気なのです。
私も2、30代の頃は、年をとると足腰が弱って健康にも不安ができ、あまり出かけないでお金も使わなくなると思っていました。60歳になったら孫を抱いてひなたぼっこでもしているようなイメージです。
10代の女の子が、20歳を越えたら青春は終わりで、30歳になったら人生の終わりだと思うような感じでしょうか。
ところが、実際に自分が60になってみると、思ったよりも元気で、まだまだ老いというものを実感できてはいません。
それはつまり、あちこち出かけたり買い物をしたりするということであり、思った以上にお金を使うということです。もちろん、そうせずに家にこもって何もしないでいることもできますが、刺激がなく、頭も身体も覿面に老化してしまいます。