上のグラフは、以前にも出したものですが、繰り上げも繰り下げもせずに65歳で受給を開始する通常受給と、75歳繰り下げ受給とを比較すれば、86歳あたりで損益分岐点が来ます。
そのため、86歳より長生きすれば、もらえるお金の総額は、通常受給よりも減ってしまいます。
その後は、いくらお金がかかるか見当もつかない老後を、少ない受給額のまま、過ごさなければなりません。
何度も繰り返しますが、人間は、いつ死ぬかわかりませんし、自分ではその時期を選べません。
例えば、年金だけで充分だと思って老人ホームに入っても、経費が値上げすることも有り得ます。
下手をすると貯金を切り崩すことになり、減りゆく貯金額を見ながら、いつまで生きてしまうか考えながら、不安な毎日を過ごすことになります。
確かに、充分な貯金がなければ、75歳まで繰り下げすることは、難しいかもしれませんが、せめて70歳まで繰り下げしておかないと、後がきつくなります。
65歳で受給を開始してしまうと、毎月の年金額は、余裕のある生活を送るには、到底足りないからです。
それは、これまでの年金財政の無駄遣いと、日本の少子高齢化、それに日本経済が30年間ずっと不調であったせいなのです。
(この項、続きます)