ここまで読んだ方は、幻冬舎ゴールドオンラインの記事が、どうもおかしいということは、わかったと思う。
あやふやな推論から導き出された、都合のいい結論を頼りにしても、損をするのは、自分である。
老後は、誰にでも来るのだから、よくよく考えないとならない。
さて、世間を騒がせた2千万円問題であるが、大半の人が、誤解していることがある。
それは、どんな家計でも、最低2千万円の貯金がないと暮らしていけなくなるというわけではないということだ。
実態調査の結果は、あくまでも平均値であって、家計の中身は家庭によって違う。
しかも、支出の平均と収入の平均は、全く独立の値であって、平均支出をしている人が、平均の収入があるわけではない。
即ち、年金の受給額が月に20万円(年間240万円)だとして、死ぬまで年間240万円以下で暮らせるものなら、必要な貯金はゼロでいい。
8百万円でも、2千万円でも、どちらでもいいのだ。
年金の受給額よりも、多くのお金を使おうとするからこそ、毎月の赤字が発生し、貯金を取り崩さなければならなくなるということなのである。
結局のところ、定年後に、家計を破綻させないために必要なのは、
1)定年時の、貯金の額を知ること。
2)年金を、いくらもらえるかを知ること。
3)貯金と年金を合わせて、死ぬまで毎年いくらまでなら使えるか(支出可能額)を計算すること。
4)実際には、毎年いくらくらい必要になるか(支出見込額)の、見当をつけること。
の4点なのである。
3で計算した毎月の支出可能額と、4で計算した支出見込額を比較し、3の支出可能額の方が多ければ、何もする必要はない。
問題は、4の支出見込額が多い場合である。
その場合は、どうしたって、何らかの対策を講じなければならない。
そこから、目を逸らすと、待っているのは、老後破綻という厳しい現実である。
1は、まず現時点での貯金通帳をすべて集めて、計算するところからである。
そして、子供の学費や家の修繕費など、今後発生するであろう大きな支出と、収入増や天引きなどの貯蓄が増えるであろう分とから、定年時での貯金の見当をつける。
2は、国から「ねんきん定期便」というのが来ているから、大体の見当はつく。
これを、意味が分からないからと捨てている人がいるようだが、そういう人は、このブログを読んでも、よく分からないだろうと思う。
3は、1と2から、計算できる。
但し、何歳まで生きるかわからないため、何通りかに分けて計算が必要だ。
例えば平均寿命と、最大限、長生きした場合との、2通りくらいについて計算しておくべきだろう。
平均寿命までしか生きられないのは、約半分で、あとの半分の人は、それよりも長生きするのだから、長生きした場合のリスクも、考えておかなければならない。
2千万円とは、65歳から30年、即ち、95歳まで生きたと仮定した場合の値である。
夫婦揃って70歳で死ぬとわかっていれば、貯金は殆ど必要ない。
だが、何度も言うように、何歳で死ぬかは、誰にも予測できない。
思いがけなく長寿となった場合も、考慮に入れておくに越したことはなかろう。
(続く)