筆者が、京大調査の「実態調査は年金の受給額を過小評価している(2ヵ月分しかカウントしていない)」という主張が、どう考えてもおかしいと考えるのには、理由がある。
実態調査では、無職の65~69歳の世帯の手取り収入の平均が、月に20.9万円(年間250.8万円)としている。
一方で、厚生年金の受給額平均は、14.8万円/月、妻の国民年金5.5万円と合わせて、夫婦で20.3万円であるから、年間の受給額は、243.6万円となる。
即ち、実態調査で出てきた金額は、厚生年金の受給額平均と、ほぼ一致しているのだ。
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これに対して、京大調査が言うように、実態調査が年金を3ヵ月で2ヵ月分しかカウントしていないとすると、実際には、年に250.8万円の1.5倍、376.2 万円も、もらっていることになる。
厚生年金の平均値である243.6万円よりも、130万円も多い額である。
どう考えても、京大調査を行なった京大の教員や財務相の職員は、この金額が多過ぎると思わなかったのだろうか。
もしかすると、彼(女)らは、民間とはかけ離れた、高額の共済年金をもらうことになるため、それがわからなかったのかもしれない。
だとしたら、羨ましい限りである。
以上の考察からわかるように、京大調査が主張する、毎月の赤字が1.4万円という金額は、どうもおかしい。
よって、「貯金は8百万で事足りる」という、幻冬舎ゴールドライフオンラインの記事も、おかしいのではないかと思うわけである。
ちなみに、総務省が、常に正確な統計調査をしていると、言いたいわけではない。
それは、下の記事を読めば、明らかである。
だが、今回の場合は、どう考えても、京大の推測に誤りがあるように思えるのだが、読者はいかに考えるだろうか。
尚、2019年から、実態調査(及び家計調査)は、家計簿の調査期間を、これまでの3ヵ月から2ヵ月分に短縮するという。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000587525.pdf
従って、2019年の実態調査の結果は、2ヵ月分の年金額が、正確に反映されるはずだ。
もし、以前の年金額が、京大調査が言うように、3ヵ月で2ヵ月分しか集計されていなかったのであれば、これまでと、かけ離れた額になるはずだが、いったいどうなったのだろう。
(続く)