警察組織のナンバーワンであった中村格警察庁長官が、安倍元総理が射殺された事件の責任を取って、警察庁長官を辞任したというニュースが入ってきた。
何となく聞き覚えがあると思ったら、伊藤詩織氏が、ジャーナリストの山口敬之氏に性的暴行をされたと訴えた刑事事件で、正式に出された逮捕状を握り潰した、当時の刑事部長だったのである。
警察幹部が、逮捕状を握り潰すというのは、TVドラマの中だけの世界だと思ったら、21世紀の日本にも実際にあるのだと、感心というか、呆れて物も言えなかった記憶がある。
尚、民事では、性的暴行があったことが認められ、伊藤詩織氏が勝訴して、賠償が認められている。
山口氏は、安倍氏お気に入りのジャーナリストだそうで、この暴行事件を握り潰したことが、中村氏の出世の道を開いたとされている。
安倍氏のおかげで、大出世した人物が、その死に関する責任を取って、警察を辞めることになったのだから、本人も諦めのつく辞め方だったことだろう。
巷間では、「因果応報」とか「身から出た錆」とか「自業自得」とか「天網 恢恢 疎にして漏らさず」とか、色々と言われそうだが。
ところで、安倍元総理が撃たれた事件は、wikipediaなどでは、安倍晋三『銃撃』事件とされている。
被害者の呼び方は、元総理だったり色々だが、『銃撃』事件という呼び方が、最も人口に膾炙しているようだ。
ただ違和感を覚えるのは、『銃撃』事件だと、被害者の損傷の程度がわからないということだ。
アメリカの、ロナルド・レーガン大統領(当時)が銃撃された時も、マスコミは、「レーガン『銃撃』事件」という呼び名を使った。
レーガン氏と安倍氏の違いは、被害者が死んだかどうかだが、『銃撃』事件と秘匿栗にされると、どっちだったのかがわからない。
どちらかと言えば、「銃撃」だと、撃たれたが生命は助かったという、レーガン氏の場合と同じときに、よく使う気がする。
では、どんな呼び名が、事件の全貌を正しく伝えるだろうと思って、考えてみた。
・銃殺事件:「銃殺」と言われれば、被害者が死んだことは間違いないが、処刑というイメージが湧いてしまう。
・暗殺事件:被害者が死んだことは伝わるが、ナイフなのか銃なのか毒なのか、手段がわからない。
社会党の浅沼稲次郎氏が、右翼の少年に短刀で殺された事件は、浅沼稲次郎「暗殺」事件とされているが、「刺殺」事件の方が的確ではないか。
・殺人事件:人が殺されたことはわかるが、非常に曖昧で、どんな場合でも当てはまるので、あまり使ってほしくはない。
・銃乱射事件:アメリカでよくあるように、機関銃を無差別に打ちまくったイメージがあって、今回のように安倍氏だけをピンポイントに狙った場合には、当てはまらない気がする。
また、実際に人が死んだかどうかわからない。
・射殺事件:何となくだが、殺した人間が殺された人間よりも、立場が上にあるようなイメージがある。
なので、元総理が殺された場合には、当てはめにくかったのかもしれない。
だが、長崎市長が暴力団幹部に殺されたケースでは、「長崎市長射殺事件」とあるので、これが最も正確ではないだろうか。