mainichi.jp 公明党の太田昭宏前代表が、銃撃で亡くなった安倍元首相を悼んだ文章を、新聞に載せていた。
その中に、以下のような記載があり、強烈な違和感を覚えた。
>安倍氏はよく「強権的だ」と言われたが、実際はそれとは対極の人だった。
>人の話をよく聞き、本もよく読んでいた。
>本当に優しい人で、例えば落選中で苦労している同僚に声を掛けるなど、周囲に細かく気を配る人だった。
安倍氏が、人の言うことをよく聞いていたというのは、本当だと思う。
恐らく、人に優しいのも、本当だと思う。
問題は、聞く相手も優しいのも、「自分のお友達」にだけ、限られていたことだ。
徹底的に、自分と考えが同じ人の、言うことしか聞かなかった印象がある。
国会では、「正解は、これしかない」と主張し、野党など反対勢力に対して、頭から馬鹿にしたような態度で臨んでいた。
民主党政権を「悪夢」と呼び、選挙演説で野次を飛ばした相手には、「こんな人たち」と呼んで、警察官に排除させた。
保育園に落ちた、女性の言うことなど、全く耳を傾けなかった。
味方にしか、とことん優しくなかったのだ。
もちろん、政治家だから、それが、全面的に悪いとは言わない。
だが、味方(というより、半分子分)である、公明党の前代表の太田氏が、「安倍さんは人の言うことをよく聞いた」と主張するのは、違うだろうと言いたいのである。
彼が、敵対勢力だったら、歯牙にもかけなかったに違いない。
太田氏の言っていることは、「親分は、世間からは恐れられ、嫌われてているけれど、わしらには優しかった」という、ヤクザのセリフとそっくりである。
「俺の言うことを、大人しく聞いていれば、優しくしてやる」という理屈だ。
ヤンキーの世界も、この理屈でできている。
「親しくつき合えば、本当は優しくていい人」なのかもしれないが、その優しさが、自分に都合のよくない人間に向けられることは、金輪際ないのである。