以下は、下の記事中の「40代前半の男性会社員」のセリフだ。
>私が入社した時は、40歳ぐらいでみんな課長になっていました。…(中略)…私も係長ですが、コロナ禍前までは「うまくいけば課長になれるかもしれない」と思っていました。…(中略)…私のような役職にもつけない40歳はこの先、どうやって生きていけばいんですかね。
退職するまで、管理職の「か」の字にも縁がなかった人間としては、「まあ、一生ヒラでも、人間は生きていくしかないし、生きていけるもんだ」くらいのことしか言えない。
私が会社に入った頃は、大卒なら、ほぼ全員が管理職にはなれるという雰囲気だった。
だが、考えてみれば、会社の組織はピラミッド型をしているから、管理職のポストはさほど多くなく、かなりの人があぶれることになる。
ほぼ終身雇用だったから、辞めていくわけではなく、なれなかった人たちはどうなるのだろうと不思議だった。
そのうち、まず、「ポストなし管理職」というものがあると知った。
課長にはなれず、全く権限はないし、人を管理する仕事をするのではなくて、一般社員と同じような仕事をするのだが、課長並の給料はもらえるのである。
そして、関連会社に行ったときに、以前にいた事業所で課長や部長クラスだった人が、そこで、「ポストなし管理職」として、働いていたのを知った。
これも、管理職として働くのではなく、一般社員と同じような仕事をするのである。
要は、当時はまだ会社に余裕があって、「姥捨て山」のようなポストがいっぱいあったのだ。
ところが、会社が左前になると、真っ先にクビを切られたのは、そういう人たちだった。
私のいた会社でも大リストラが行なわれ、関連会社自体がなくなった。
そして、ポストなし管理職の方々が、毎日小部屋に呼ばれて圧迫面接をされ、次々と辞めていった。
幸いなことに、ヒラ社員だった私は、何も言われなかった。
組合員を辞めさせるのには、それ相応の理由がいるのである。
話を戻すが、そもそも課長というのは、小さな担当替えをできるくらいの人事権しかないし、それにも部長の許可が必要だったりする。
その割には、部下の成績や素行に関して、ほぼ全責任を負わなくてはいけなくて、あまり割に合うポストではないという気がする。
この記事の男性でなくても、「せめて課長」とはよく言われるが、「課長になるのが目標」ではなく、「部長に行く前のステップ」というくらいのスタンスでないと、なっても苦労が絶えないだろうと、経験のない人間は、気楽なことを思うのだった。