「街を歩いても刺されなくなった」という、日本国内とは思えないような過激なセリフに、さすがにドキッとした。
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2021年8月24日、福岡地裁で、福岡県北九州市の暴力団、工藤會の野村悟総裁に死刑、会長の田上不美夫に無期懲役の判決がおりた(控訴中)。
直接手を下したわけではなく、しかも、命令した直接の証拠もないのに、暴力団の組長に死刑判決がおりたという、画期的な判決だった。
ここで、野村被告が関連したとされる、4件の事件に関して、発生順に並べてみた。
・北九州元漁協組合長射殺事件(1998/2/18/発生、2014/9/11/逮捕)
・福岡県警元警部銃撃事件(2012/4/19/発生、2015/7/6/逮捕)
・女性看護師刺傷事件(2013/1/28/発生、2014/10/1/逮捕)
・男性歯科医師(元組合長の長男の息子)刺傷事件(2014/5/26/発生、2015/5/22/逮捕)
ここで気づくのは、野村被告が逮捕されたのが2014年、即ち、1998年に起きた北九州元漁協組合長射殺事件から、何と16年もたってからだということだ。
捜査にそれほど時間がかかったのだろうか。
いや、既に実行犯は逮捕され、2人が有罪、1人が無罪となっているのだ。
そして、田上被告は不起訴となっている。
では、この間に、何が起きたのか。
2012年、工藤會の捜査を長年担当していた福岡県警の元警部(当時は退職)が、組員に左太腿と腰を撃たれたのだ。
これで、警察が動いた。
工藤會を、壊滅させるための頂上作戦を、徹底的に遂行したのである。
会長や総裁が、命令を下した直接の証拠もないのに、逮捕して起訴し、死刑判決にまで追い込んだ。
これから、何がわかるだろうか。
警察官やOBが害されて、初めて、警察は本気で動くのである。
民間人が死んだだけでは、なかなか動かない。
警察にとっては、元組合長が死んだ事件よりも、元警察官が撃たれた事件のほうが、重かったということである。