何度も述べてきたように、サラリーマンの身で投資抜きに、1億円というお金を貯めるためには、天引き預金と、共働きが必須です。
たまに、共働きを成功させるコツを、聞かれることがあります。
一つはもちろん、このブログでも散々説明してきたように、家事を分担することです。
夫は、会社の仕事だけしていればよくて、妻は仕事に加えて、ワンオペで家事や育児をするという態勢では、いずれは無理がきて、どこか(=妻)が破綻します。
もう一つ、大事な点が、相手は違う性だから、考え方も違って当然だとか、分かり合えない存在であるとか思わないことです。
相手を対等の存在と認め、女だからと、対応を変えるのは、失敗の元です。
世の中に溢れているのは、どちらかというと、反対の説です。
昔から、男と女は、根本的に考え方や性格が違っていという存在だということが、信じられてきました。
男は寡黙で鈍感だが論理的、女はお喋りで敏感だが感情的などという、もっともらしい説が、大手を振ってまかり通ってきました。
なので、男はその違いに合わせて女を扱わなければならず、それが、夫婦がうまくゆくコツだというのです。
こういうことを主張する人は、大抵、原始時代を持ち出します。
当時は、男と女の役割が分担されていて、男は戸外で危険を犯して狩猟したのに対し、女は家の中で集団で家事をやり、密にコミュニケーションを取っていたと。
人類は、長い間そうやって「進化」してきたから、男と女は根本的に考え方が違うのだというのです。
私は、進化の専門家ではありませんし、生物学もまともに勉強していませんが、この説は、進化という現象の解釈に、間違いがあるような気がします。
進化というのは、遺伝子のランダムな変化によって起こります。
なので、社会で生活する上で、強いられる習慣(例えば女は家にいて家事・育児をするべし)というのは、そもそも遺伝子に発現するとは限りません。
しかも、その女性に発現しただけなら、ただの変化です。
その変化が、女性全体に伝わり、一般的な女性だけの性質となるためには、自分の遺伝子を残すために、他よりも有利なものでなくてはなりません。
それが、何世代にもわたって積み重ねられ、トーナメントを勝ち抜いた結果こそが、進化なのです。
女性が、お喋りで社交的であるという性質が、寡黙で論理的であるという性質に比べ、自分の遺伝子を残すために有利だという証拠は、今のところないようです。
では、なぜこういう説が、まかり通るようになったのでしょう。
それは、男にとって、大変、都合のいい考え方だからです。
喧嘩をしても、相手は女だから違っていると思えば、相手のことを理解しなくてもよく、気分が楽になります。
女は、男と違っているから、生まれつき母性本能があって、家事をするのが得意だということにしておけば、自分が家事・育児をしない理由がつけられます。
女が文句を言っても、「進化のせいでそうなってきた」と言えば、相手は反論しにくくなるというわけです。
しかも、現在の世の中は、科学的な見地とは逆に、男女の生まれつきの違いを強調する方向に動いています。
それを、理論的に強化したのが、「男脳・女脳」という、根拠の全くないアイデアです。
血液型占いと一緒で、こういうトンデモ説は、本当に早く広まっていきます。
それも、ひとえにそれを信じておくのが、都合がいい人が多いからです。
(この項、続きます)