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かつてアメリカにも、ターザンの作者による、異世界モノがあった



 最近の出版業界は、猫も杓子も、異世界モノが大流行りです。
 大抵は、平凡な日本人の主人公が、交通事故などで死に、気がつくと、西欧中世風の異世界で転生していることに気づきます。
 そこでは、文明がかなり遅れており、元の世界では平凡でしかなかった主人公の能力・知識でも、非常に優れた人材として重宝がられ、ヒーロー(ヒロイン)になることができます。


 現世で死んで転生するのではなく、魔法などの力で、異世界に転移する例もあります。
 さらには、現代の知識を生かすのではなく、転移や転生の際に、女神などからチートと呼ばれる優れた能力を、与えられることもあります。

 

 実は、このようなジャンルの作品が、かつてアメリカでも、流行したことがありました。
 その嚆矢となったのが、エドガー・ライス・バローズという作家の著わした、『火星シリーズ』です。
 バローズは、映画で有名になった、『ターザンシリーズ』の原作者でもあります。
 第1作『火星のプリンセス』(1917年)は、南軍の騎兵大尉ジョン・カーターが、なぜかいきなり火星に転移し、そこでヒーローとなる話です。
 この作品は大ヒットし、バローズは、次々と続編を書きました。
 出版業界が、柳の下の泥鰌を狙うのは、洋の東西を問わず、さまざまな作家が類書を書いて、異世界モノは一大ブームとなりました。
 そのジャンルを称して、「バローズタイプ」と呼びます。

 

 アメリカのバローズタイプが、日本の異世界ものと異なるのは、主人公が、現世において、まぎれもない快男子であったことです。
 例えば、ジョン・カーターは、彼の甥によって「男の中の男であった」と呼ばれるほどの人物でした。
 もちろん、火星の低重力で、その能力が増幅されたことは間違いありませんが、活躍のかなりの部分は、彼が、本来、有していた力によるものです。

 これに対して日本の異世界ものの主人公は、殆どが、文明の差による知識のギャップや、女神から与えられたチート能力によって、活躍しています。
 言うなれば、完全な、他力本願です。
 そのあたり、アメリカと日本の民族差が出ているというか、日本の場合は、ちょっと情けない気もしています。
 何しろ、努力しない「ありのまま」でも、場を与えられれば、ヒーローになれるかもしれないという、宝くじに当たるような僥倖を期待しているのですから。
 考え方を変えれば、「誰でも」というあわよくば感が、ヒットの理由だったとも言えるでしょう。

 

 そんな日本の異世界モノにおいて、最近増えてきたタイトルが、貴族の家の、跡継ぎではない弟などに生まれて、のんびり暮らすというものです。
 或いは、田舎で領主をしたり、農作業をして、スローライフを満喫するというものもあります。


 これらのタイトルを見ていると、現世の日本人が、いかに疲れているか、わかるような気がします。
 つまり、あくせく働くのはもうこりごりで、人に使われることなく、それでいて衣食住の心配をせずに、ひたすらのんびり暮らしたい、という哀しい心境が、透けて見えるような気がするのです。

■ □ ■ □ ■ □ 昨日の家事 □ ■ □ ■ □ ■
・自分の分の朝食作り
・夜食器洗