地球の温暖化を防止するには、どうしても、原子力発電を用いなければならないのではないかという意見が、EUなどからも出ているようです。
個人的には、核のゴミ処理問題と、原子炉の安全問題を解決できれば、原子力発電に含むところはありません。
EUの場合は、堅固な地盤があって、ゴミ処理に目処がついており、また、地震や津波も少ないため、安全性も、さほど問題視していないのかもしれません。
ですが、日本ではどちらも解決の見通しは全く立っておらず、温暖化対策に原発をと、手放しで推進するのは、無理がありそうです。
ところで、一口に、原子力を使って発電すると言いますが、恥ずかしながら、筆者は、しばらく前まで、どんな仕組みになっているか、知りませんでした。
筆者の妻も、調べたことを話したら、「嘘だ」と笑って、しばらく信じてくれませんでした。
原発は、原子炉の内部で、ウランをゆっくりと核分裂させていますが、その目的は、単に熱を得ることなのです。
効率的に熱が得られさえすれば、核分裂でなくてもかまいません。
そして、できた熱でお湯を沸騰させ、水蒸気の力で磁石を回して、発電を行なっているのです。
これは、300年前の産業革命時に発明された、蒸気機関と全く同じ原理です。
産業革命の立役者の一人である、ジェームズ・ワット氏が、薬罐の蓋が水蒸気で持ち上がるのを見て、蒸気機関を発明したという話が、子供の頃に読んだ偉人伝に載っていました。
その頃から、燃料が薪→石炭→石油→ウランとなっただけで、原理は蒸気機関のままなのです。
最新の技術である原子力発電が、実は蒸気機関だったというのは、ちょっとしたショックでした。
しかも、発電機が発明されたのも、200年も前です。
現代文明の繁栄は、200年前と300年前の発明の上に、成り立っていたのです。
ちなみに、蒸気機関を発明したのはワット氏ではなく、ニューコメン氏であり、ワット氏はそれを改良したもので、薬罐の話は、作り話だそうです。