一方、『第弐門』では、出てくる格闘家たちの描写がない反面、格闘シーンがやたら長くなってしまった。
例えば、さほどの重要キャラでもないボルトを倒すのに、単行本まる1巻以上をかけている。
『修羅の門』と比べれば、水増し感が拭えない。
リングで最後に戦った、中国の暗殺集団のエースとされている、姜子牙に至っては、2巻半もかかっている。
正直、最後の方は読むのが苦痛になってきた。
しかも、作者も言っているように、姜子牙が九十九よりも小さいため、いかにも迫力がない。
加えて、決勝までの戦いが圧倒的であるがゆえに、その強さをアピールできていなかった。
極めつけは、最後にあまりに露骨な反則をするのが、あんまりだと思わされた。
あれで、一気に姜子牙のライバルとしての格が落ちたと思ったのは、筆者だけではないだろう。
尚、物語に感情移入できなかった一因としては、九十九の後援についた女社長の存在も大きい。
彼女は、チャンピオンである九十九に、最大限の支援をした。
体調をベストに保たせ、怪我をすれば手厚い看護を施し、治るまでは戦わせないというスケジュールを組む。
結果、徒手空拳で巨大な敵に挑んだ過去の戦いに比べ、九十九の立ち位置は、比較にならないほど楽なものになっている。
そんな恵まれた主人公が、敵を倒しても、こちらとしては、「ふ~ん」と思うだけなのである。
加えて、この女社長と、神武館の女性館長代理が、何かのたびにわかったふうをして、しょっちゅう舌を出す。
これが、読んでいるほうとしては、一々気に障った。
あの不快なシーンをカットするだけで、物語はかなり引き締まったものになると思っている。
(続く)
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