1億円貯めて、会社を辞めました。

【毎日極楽】いかにして1億円を貯金し、60歳からの早期リタイアの日々を幸せに過ごしているか

『修羅の門 第弐門』は、どうしてあそこまでつまらなくなってしまったのか(2)。

 さて、『修羅の門』が終わって15年ほどたち、続編が出るというので、期待して単行本を買ったわけだが、結局、最後まであのワクワクする格闘シーンが甦ることはなかった。
 というのも、前述した通り、九十九が挑戦者ではなく、伝説のチャンピオンになってしまったからである。


 新たな敵として、九十九不在の3年の間に格闘技の理論が進歩し、近代理論に従った格闘家たちが、幅を効かせているという設定になっている。
 ところが、その近代格闘家たちがさっぱり魅力的でなく、しかも強さが全く感じられない。
 近代格闘家たちの過去の戦いが描かれることがなく、登場人物の語りだけで、彼らの強さを描いたからである。

 

 それは、『ロッキー4/炎の友情』に出る、イワン・ドラゴと比較すれば、よくわかる。
 アポロをリングで圧倒的な強さで殺し、機械のように近代的なトレーニングを、苦しむ顔も見せずに行なうところが描かれたからこそ、「ロッキーが、これほどの猛者をどうやって倒すのか」という期待感が、いやがうえにも高まったのだ。

 

 その、一番大事な過程が、全くと言っていいほど描かれていない。

 例えば、魅惑的な美女たちが次々と現れ、主人公と恋に落ちるのに、その美女たちのエピソードがまるでなくて、周囲が「何て美しい女だ」と言うばかりのようなものだ。

 おかげで、「何だかよくわからないけど強いらしい格闘家が次々に出て来て、順番に九十九に倒される」というだけの話になってしまった。

 

(続く)

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