さらに、それまでにいた会社と全く関係のない職場で働くということは、環境が激変するということだ。
いかに、今までの会社が甘い環境だったかを、思い知ることになる。
過去の実績が通用しない、完全実力主義の最前線にさらされるのである。
会社なら、いくら定年後再雇用の「お荷物」という目で見られても、他に同じような人間がいっぱいいる。
後輩に指図をされて、あまりいい気分はしなくても、少なくとも、元先輩に面と向かって、「お前は使えない」と言うような人間は、そんなにいるものではない。
他人の目があるし、そんなことをすれば、上司の評判も悪くなる。
かつては、面倒をみてやった人が、庇ってくれる場合もある。
後輩に対し、「冷静に考えれば、明日は我が身だよ」と、諭してくれる人もいるだろう。
それが、違う組織に移ると、一変する。
雇う側にしてみれば、65歳を過ぎて入ってきた人間は、単なる「使えない年寄り」である。
一から仕事を教えても、デジタルがよくわからなかったりするから覚えが悪く、言葉も通じないから雑談もできず、前職のプライドがあるから、客商売向けの言葉遣いもまともにできない。
自分が雇う立場なら、65歳を越え、腰かけで働く人間に年百万を払うより、もう少し給与を割り増ししても、20代の人間を雇う。
かつての部下が上司になって気まずい思いをし、65歳になる前に退職する話が、よくネットに出ているが、20代の店長に使えないバイト扱いされるのと、どちらがましか、よく考えたほうがいい。
このように、退職後、週に3,4日程度しか働かずに、年に100万円を稼ぐというのは、本の著者が書いているような、簡単なものではない。
そうならないために、65歳までにしっかりと準備をしておくことが、大事なのである。
ちなみに、著者は1985年生まれとあるから、2023年現在、まだ40歳にもなっていない。
定年後の本を書くには、ちょっと早いという気がする。
いつも、読んでいただき、有り難うございます。
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