先日、『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』という本を読んだ。
一言で要約すると、「65歳の定年退職後は、無理な働き方をしなくてもよく、小さな仕事で、年に100万円も稼げば暮らしていける」という内容である。
本には、定年後に年100万円程度で働き、生きがいを持って満足している人の事例が載っている。
これが本当なら、退職までに2千万円を貯めなければならないという、2千万円問題も解消するというわけだ。
だが、夢を壊すようで悪いが、片手間仕事で、年に百万もの金を、そんなに簡単に稼げるわけがない。
そんな能力があれば、私なら、現役時代から副業をしている。
65歳まで、週に5日で数百万を稼いでいたのだから、週に3,4日働いて100万程度を稼ぐのは、かなり楽だと思うかもしれないが、それは、あまりに甘い考えだ。
あなたが、定年間際に数百万円をもらえていたのは、それまでの数十年間に、安い給料で働いて来たからのことであり、言うなれば、かなり下駄を履かせてもらっている値段なのである。
ハロワに行ったからわかるが、60歳になると、これまでやってきたのと全く関係のない仕事の求人など、殆どない。
介護・看護は、慢性人出不足なので、その例外であるが、ずっとデスクワークをしていた人に、明日から勤まるような仕事ではない。
とすると、バイトくらいが関の山だ。
例えば、コンビニのバイトの時給は、平均千円程度である。
1日に5時間働いて、やっと5千円。
時折休憩はあるものの、65歳を過ぎて、立ちっぱなしで5時間は、かなり辛かろう。
おまけに、体力は年々低下し、重いものを持つと、腰を痛める恐れもある。
そのハードな仕事を、週4日働いても2万円、月に8万円、年にやっと96万円で、100万円にすら届かない。
税金その他を引かれると、さらに目減りする。
週5日勤務から週4日勤務になっただけで、年収は数分の一になってしまうのである。
(続く)
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