現在の交通法規には、「物理的弱者が法的強者」という原則がある。
物理的弱者とは、例えば歩行者のことであり、物理的強者とは、自動車などを言う。
つまり、ぶつかったときに、損害を負う方が、法的に保護されているということになる。
損害賠償でも、自動車と歩行者の事故では、歩行者がよほど自滅的な行為(例えば夜中に酔っ払って道で寝ている)をしない限り、責任の割合は、自動車9対歩行者1くらいになる。
ところが、下の記事では、歩行者の過失割合を増やすべきだと主張している。
確かに、最近は片側2車線道路を歩いて渡るお年寄りや、スマホを見ながら、自転車を走らせる赤信号をふらふらと渡るような歩行者がいる。
そういうのを見ていると、こちらは交通ルールを守っているのに、何で無茶苦茶な歩行者の事故の責任を取らされるのだという、著者の気持ちもわからないではない。
だからと言って、本当に歩行者の過失割合を増やしていいのかというと、それは、また別問題である。
歩行者というのは、物の分かった大人ばかりではない。
大人ならともかく、年端もゆかない子供は、何をするかわからない。
下の事故のように、いきなり道路を渡ることもある。
自転車でも、道路の窪みに車輪を取られて、いきなり車道側に倒れかかってくることもある。
もし加害者になって、相手が死んだりしたら、賠償金が9対1から7対3になったからといって、自責の念が和らぐものではない。
万が一にも加害者にならないためには、自動車を運転する場合は、「自分の右足の力のかけ方次第で、人の命を奪える」ということを、常に意識しておくべきだと思う。
その上で、「歩行者(自転車も)は、自分たちのように免許を持っているわけではなく、交通ルールを知らない人間もいっぱいいるのだから、何をしても不思議ではない」ということを、頭に置いておくべきだろう。
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