さて、記事では、不要な設備をつけない対策として、次のような項目を挙げている。
どれも、間違ったことは言っていないが、満足度の高い家を建てるには、どうもピントがずれているような気がする。
1. リサーチをする:どのような設備があるのか、情報収集する。
2. 予算計画を立てる:設備を導入する数ではなく、予算をしっかり決めておく。
3. 優先順位を決める:なくては困る→使用頻度が高い→あったら便利。
4. 本当に必要な設備か:人気の設備より、あなたが必要としている設備を。
5. 第三者の意見を聞く:ハウスメーカーや工務店の担当者さんに相談するのがおすすめ。
これだと、可能な設備を集め、予算と優先順位に従って、「なくては困る」ものと「使用頻度が高い」ものを選ぶことになる。
問題は、本当に自分たち家族にとって、「なくては困る」ものと「使用頻度が高い」ものが、わかっているかということだ。
唐突で恐縮だが、孫子に、「彼(敵のこと)を知り、己を知れば、百戦危うからず」という言葉がある。
家を建てる場合、「彼」は予算であり、「己」は自分たちのライフスタイルであろう。
即ち、自分たちがどんな生活をする(したい)のか、わかっていないと、満足な設備や家は、建てられないということだ。
そのために大事なのは、とことん家族で話し合うことではないだろうか。
庭が広い家が欲しいのか、それぞれに個室のある家がほしいのか、或いは、電化製品をなるべく使わずに省エネで暮らしたいのかといった、すり合わせが必要だ。
そして、たとえ充分なすり合わせをして、その時点で満足のいく家を建てたとしても、コロナによるリモートワークや、親や自分を含む家族の病気、子供の進学先や転勤など、計算違いのことは、世の中には常に起こる。
それでも、建てる前にしっかり話し合っておきさえすれば、そういった計算違いを、家族一体となって乗り越えられる確率は、少しでも高くなるのではないかと思うのである。
その点からも、結婚するからとか、子供が生まれるからと、建て売り住宅やマンションを買う(親に買ってもらう)ような、家族に大きな変化がある前の決断は、一番避けるべきだろう。
(続く)