イギリスは、日本と同じく議院内閣制を取っている。
というよりも、イギリスこそが、議院内閣制の発祥国であり、戦後日本が、GHQの指導によって、その制度を真似たという方が正しい。
そのイギリスでは、就任からわずか45日でリズ・トラス首相が辞任し、その後継を巡って、保守党の党首選挙が行なわれる。
イギリスの党首選挙は、保守党の下院議員の投票によって、候補者を2人にまで絞り込んだ後、保守党の党員による、オンラインの投票により選ばれるという。
下の記事は、その首相を決める最後の決選投票が、「およそ16万人の、人数さえ正確に不明な」保守党員によって行なわれるのを、嘆いたものだ。
日本の首相選出は、およそ100万人の自民党員と、自民党の国会議員の投票によって行なわれる。
日本の方が、党員の数は多いが、身内だけで決まることに変わりはない。
それでも、イギリスの方が、日本よりは余程ましだと、思わずにはいられない。
何しろ、日本とイギリスでは、大きく違うところがある。
イギリスでは、保守党の首相が失政をしでかした場合に、労働党の首相を選ぶという選択肢があるのに対し、日本には、その道が事実上ないということだ。
自民党が、金権選挙をなくす云々という名目で、大政党が有利な小選挙区制を採用させたことと、せっかく政権を取った民主党が、浮かれて色々と失敗をしでかしたおかげで、当分の間、政権交代は起こらないだろう。
尚、いつもの筆者の予想と同じく、この予想も近いうちに外れることを祈っている。
日本人は、そもそも、人の失敗を潔癖なほど許さない。
加えて、故安倍元総理が、民主党の失政をここぞとばかりに強調したことで、「自民党以外には、政権を任せられない」という雰囲気が、醸成されてしまった。
おかげで、今や自民党は緊張感を失い、何をしてもいいと増長している。
少しくらい打たれても、登板機会を与えないと、投手は成長しない。
ある程度の損失も覚悟して、何年かに一度は対抗馬に政権を担う機会を与えないと、自民党が劣化したときに、代替手段がなくなってしまい、日本は行き詰まるばかりだろう。