森永卓郎氏の、「年収200万円時代を生き抜く知恵」 という記事が、目についた。
都会と田舎の中間である、「トカイナカ」に、30坪ほどの畑を借りて、農業をやりながら暮らすことだそうだ。
だが、これは、現実にはなかなか難しい。
まず、採算が取れない。
森永氏が言うように、30坪の畑を借りて、野菜を作ることを考えてみよう。
1坪は、3.3平方メートル(=平米)だから、30坪と言えば、およそ100平米の広さがある。
畑のレンタルサービスを行なっている、シェア畑という会社の価格表では、畑の賃料は、最安で月に3平米あたり6,400円となっている。
ummkt.com ここで、最低料金で30坪の畑を借りると、6,400円の33倍で、月に21万1,200円、年に253万4,400円がかかる。
いくら野菜を作っても、とても採算の合う額ではないのは、わかると思う。
もし、市民農園を借りることができれば、この十分の一程度でできるようだが、何のサポートもない。
苗も肥料も自分で用意して、野菜育てのノウハウも、自分で学ばなければならない。
10m×10mもの畑を、本格的な機械も入れずに、素人がいきなり面倒をみるのは、まず無理である。
我が家では、親戚が農業をやっているので、何となく感覚がわかるが、自分たちの食べるだけの野菜を作るだけでも、片手間にできるようなものではないのだ。
ここまで書いて気がついたのが、P4の写真の下にある「森永さんが所有する約30坪の畑で農作業」という箇所だった。
もしかすると、畑は、借りているのではなく、所有しているのだろうか。
だとすると、余計に、素人には実現が無理な話である。
日本で新たに農地を購入するのは大変難しいし、その価格分を計算に入れると、どう考えても元が取れないからだ。
また、都会と田舎での、物価に関する認識が、根本的に誤っている。
>特売品を上手に利用すると実質的な生活費は半分以下になる印象。
>
常識で考えればわかると思うが、そんな筈がない。
消費者物価地域差指数という資料を見ればわかるように、物価水準が最も高い東京都(105.2)と、最も低い宮崎県(95.9)の差は、「住居」を勘定に入れてさえ、ほんの10ポイントほどなのだ。
この著者は、30年前から所沢に住んでいるそうだが、東京では、いったい全体、どのような暮らしをしていたのだろうか。
また、これほど物価が安いと書かれて、所沢の人は怒らないのだろうかと、不思議になってしまう。
そもそも、この著者は、タレントである。
プロフィールによれば、B宝館という私設の博物館を持ち、億を越える借金云々とある。
我々、年収数百万のサラリーマンとは、お金の出入りの桁が、全く違っているはずだ。
ja.wikipedia.org
本人は意識していないのかもしれないが、過去を含めて数百万から数千万のお金の出入りがあって、その上で、差し引き200万で暮らしているということになっているのではないだろうか。
森永氏のことは、年金の繰り上げ受給のところでも取り上げたが、どうも現実離れした主張をする方のようだ。
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