先述したように、日本代表は、カタールワールドカップ（W杯）で、ドイツ、スペイン、コスタリカと同組に入れられ、予選敗退が確実と思われています。
加えて、6月に、練習試合を4試合戦い、パラグアイ戦とガーナ戦では勝利したものの、ブラジル戦とチュニジア戦では、ほぼ完敗だったことから、W杯は大丈夫かという声が高くなってきました。
しかしながら、もしかするとこれは、逆に、決勝トーナメント進出のチャンスかもしれません。
過去の日本代表のW杯における戦績を振り返ると、決勝トーナメントに進出できたのは、前評判が低かった時ばかりだからです。
1998(フランス)：初出場で、3戦全敗。何もわからないうちに、グループステージ(GS)敗退
2002(日韓)：1998大会で全敗した危機感から、国を挙げての強化を行ない、開催国の利を生かして、決勝トーナメント進出(1回戦敗退)
2006(ドイツ)：ジーコ監督が、中田、中村、高原を擁して史上最強チームと謳われ、日韓大会の成績を上回ることを期待されたが、初戦でオーストラリアに逆転負け、第3戦ブラジルにも完敗で、GS敗退。
2010(南ア)：イビチャ・オシム監督が倒れ、岡田監督が急遽就任。本大会前の練習試合で負けが込み、3戦全敗も覚悟する中、戦術を守備的に変更して、決勝トーナメント進出（2勝1敗）。
2014(ブラジル)：海外で実績のあるザッケローニ監督と、本田、岡崎、香川などのヨーロッパでレギュラーを張れる選手を主力とした堂々たる布陣で、かなり期待されたが、GS敗退。
2018(ロシア)：直前にハリルホジッチ監督が解任され、西野監督が急遽就任。ベテランを主に起用し、初戦で相手のコロンビアの選手が退場する幸運もあって、決勝トーナメント進出。
このように、前の大会で決勝トーナメントに進出して自信をつけ、次は、さらに良い成績をと意気込んだときは、すべて惨敗しています。
2014ブラジル大会では、「自分たちのサッカーができれば優勝できる」などというセリフさえ飛び出しました。
まさに、取らぬ狸の皮算用という言葉が、ぴったりでした。
自分たちは強いと思い込んで、華麗で攻撃的なサッカーをしようとしたのが、原因です。
要は、格好をつけ過ぎなのです。
これに対して、監督が交代したり、大会前の練習試合で不調だったときは、チームに危機感が漲りました。
そして、戦術を守備的なものにして、固く守って相手の隙を突くという、弱者の戦法を取ったおかげで、GSを突破しているのです。
（この稿、続きます）
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