このところの猛暑と電力不足が重なり、政府や自治体などの行政は、「エアコンを適正に使って熱中症を予防して下さい。但し、節電はしっかりしてね」という、完全に矛盾した呼びかけを繰り返しています。
これは、若い人にとっては、何でもないことかもしれません。
熱中症になっては、何にもならないので、まずエアコンで室温を下げ、その上で、照明などを節電すればいいというように、自分で判断できるからです。
ところが、年配の人にとっては、なかなか、そうはいきません。
何しろ、日本の年配者は、政府などのお達しを、律儀に守ることに慣れています。
これまで、政府や、会社の上司など、上の立場の者の言うことを聞いていれば、うまくいってきたからです。
一方で、自分で考え、判断するということには、慣れておらず、不得意といってもいいほどです。
そういう人間が、お上から矛盾した呼びかけを聞くと、思考がフリーズしてしまいます。
そうなると、「何もしない」、或いは、「現状を変えない」という行動に走りがちです。
下手に自分の判断で動くことで、かえって事態が悪くなることを、最も恐れるからです。
災害などでも、「命を守る行動をして下さい」と言われても、どうしていいかわからず、結局はその場に留まってしまいます。
コロナのマスクでも、外を歩いているときは、マスクを外してもいいと言われても、結局は大半の人がつけたままです。
では、熱中症を防ぐために、行政は、どうするべきか。
「65歳以上の人は、家にいるときは、必ずエアコンをつけて下さい」というように、ストレートに呼びかけるしかないでしょう。
ところが、行政は、まず、そんな呼びかけをしません。
エアコンが古くて火事になったり、故障したために熱中症になったりするなど、何らかのトラブルが起きたら、責任を取りたくないからです。
また、65歳以上の全員がエアコンをつけたら、電力が足りなくなって停電になりかねず、今度は、電力会社から抗議が来ます。
「注意」という、曖昧な呼びかけに留めておけば、年配者が熱中症になっても、「自己責任」でクレームを撥ねつけられます。
ですが、「~して下さい」と言って、何かが起きたら、「お前たちのせいだ」と言われかねず、行政にとっては、それが一番厄介だからです。
その意味で、矛盾した呼びかけをするのは、行政の責任逃れに、一番いい手段なのです。
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