「ゆっくり茶番劇」という商標の権利者である柚葉氏が、抹消登録申請(権利放棄の申し出)を行なったというニュースが出ていました。
元はと言えば、ドワンゴが運営しているニコニコ動画等で使われた、「ゆっくり茶番劇」という言葉を、柚葉氏という個人が商標権を取得した上に、他者にライセンス使用料を求めたことで、生じた騒ぎです。
現職の官房長官が、コメントを出す騒ぎにまで発展しました。
権利放棄によって、一連の騒動はひとまず収束することになりそうですが、権利放棄は、柚葉氏が納得したものではなく、ネットで誹謗中傷を受け、仕方なくということです。
ネットの人たちは、「ゆっくり茶番劇」というのは公共の財産であり、個人が商標権を取得したのはけしからんという意見を表明していたようですが、これは商標というものを、根本的に勘違いしています。
そもそも、商標というのは、発明した本人(或いはその代理人や権利譲受者)が、出願しなければならない特許と違って、誰が出願してもよいと決まっており、早く出願した者勝ちなのです。
この、「ゆっくり茶番劇」という言葉が広まりかけたところで、ドワンゴが出願しておけば、このような騒ぎは起こりませんでした。
しかも、このような騒ぎは、初めてのことではありません。
他者が、勝手に商標を出願して問題になったというケースは、山のようにあります。
有名なのが、「クレヨンしんちゃん商標事件」です。
中国の企業が、クレヨンしんちゃんの中国語名である蜡笔小新(ラービィシャオシン)」を、中国で商標登録してしまったため、出版社である双葉社が、使えなくなってしまったというものです。
このときは、中国企業が出願したのが1997年で、双葉社がそれを知って慌てたのが、2004年というお粗末さでした。
双葉社は、中国企業による出願は知っていたものの、問題ないと思って、放っておいたという説もあります。
その後、双葉社は、権利を取り戻すために、中国でいくつもの裁判を起こし、大変な苦労をしています。
ドワンゴの親会社であるKADOKAWA(角川書店)は、同業の双葉社の苦労を見ていた筈なのですが、他人事扱いして、教訓を学ばなかったということです。
尚、今回の騒ぎは、世間のプレッシャーに負けた柚葉氏が、抹消登録申請を行なって収束しましたが、商標の権利者が、中国(に限らず外国)企業だったらどうなっていたでしょう。
恐らく、聞く耳を持たず、権利行使を行なっていたと思います。
出版社に限らず、サービスを広げていこうと考えている企業は、すべからく商標に対する対応を見直すべきでしょう。
■ □ ■ □ ■ □ 昨日の家事 □ ■ □ ■ □ ■
・自分の分の朝食作り
・洗濯
・トイレ掃除
・昼食器洗
・夜食器洗
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