通常、癌の治療においては、「標準治療」という名の治療を、受けることになります。
「標準治療」という名から受ける印象は、「保険が効く、並のレベルの治療」というのがせいぜいであり、決して、現代医学の粋を極めたという感じではありません。
ですが、実は標準治療というのは、「科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療」という意味だそうです。
一方で、保険が効かない、「自由診療」というものがあります。
こちらは、あたかも、普通の患者が受けることを許される標準治療よりも、先進的な治療であるかのようです。
限られた優秀な医師だけが、自由診療を行なえ、裕福で、しかも貴重な情報を得ることのできた患者だけが、その恩恵に預かれるかのような印象を与えています。
ところが、「自由診療」というのは、効くという保証は全くありません。
もちろん、まだ検証の終わっていない、画期的な治療も含まれているかもしれませんが、大半は、医学的な根拠がありません。
効くかどうかはわからない、まじないのようなものや、素人でさえ、効くわけがないとわかるものさえあります。
それを、「自由診療」というネーミングにより、あたかも保険の範囲外の優れた診療というように宣伝しており、標準治療で治療が難しいと言われた患者が、一縷の望みをかけて、頼ってしまうようです。
この勘違いを、助長しているのが、歯科医で行なわれるところの、「自由診療」という言葉ではないでしょうか。