私は、前日のような記事を書いたからといって、安倍元総理の業績が、全く評価に値しないと考えているわけではありません。
リーマンショック等で、ガタガタになりかけていた日本経済を、一時的にせよ立て直した功績は、かなりのものだと思います。
結果として、日本の企業は円安に頼るようになり、競争力を失って、利益が上がらない体質になってしまいましたが……。
モリカケを始めとする、お友達に対する公私混同に関しても、世の中で言われるほど、ひどいとは思いません。
偉くなれば、これまで自分を支えてきてくれた人たちに、お礼として、多少の便宜を図りたくなるものでしょう。
親戚や取り巻きが、巨大な利権を得て、退任後に裁判にかけられている、韓国や中南米の大統領などに比べれば、小物感が否めません。
何かと言えば、憲法改正を唱えて右派の支持を盤石にし、同時に、意外にも左寄りと考えられる政策を次々通した手腕も、大したものです。
冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
日本の経済政策は、なぜ右派と左派でねじれているのか?
安倍元首相の失敗は、なまじっか選挙に勝ち続けたために、成功体験に溺れてしまい、引き時を知らなかったところでしょうか。
コロナ禍が、あと1年遅く来てさえいれば、東京オリンピックを首相として迎え、最高の花道を飾れたのにと、さぞかし巡り合わせの悪さを嘆いたことでしょう。
人事権を盾に、官邸が官僚に命令するという態勢を作り上げ、それまでの不祥事を乗り越えてきたために、命令しさえすれば、何でも解決すると思い込んでしまった節があります。
自然現象であるコロナウイルスにも、その手法が通用すると思い込んだのが、大きな間違いでした。