日本では、婚姻届を出すことにより、結婚が成立します(日本では、とわざわざ書いたのは、国によって違うからです)。
尚、世の中では、入籍という言葉がよく使われますが、現代では、妻が夫の籍に入るわけではないので、ここでは、使いません。
さて、婚姻届を出したら、絶対にしておくべきことがあります。
それは、夫婦双方が、遺言書を作ることです。
縁起でもないと思われるかもしれませんが、子供がいない状態で、夫婦のどちらかが亡くなった場合の、相手の親族との争いを避けるためです。
遺言状がない場合、死亡した人(被相続人)の遺産は、原則として、法定相続人に相続されます。
誰に何割を相続させるかという、割合を決めるのが、法定相続分です。
夫婦の片方が亡くなったとき、子供がいる場合の法定相続人は、配偶者と子供のみということになります。
法定相続分は、配偶者が2分の1、子が2分の1となり、全ての遺産が配偶者と子供に相続されて、他の人間が介在する余地はありません。
ところが、子供がいない場合は、どうなるか。
法定相続人は、配偶者のみと思っている人が、多いのではないでしょうか。
ところが、そうではないのです。
私たちも、これを知ったときは驚き、慌てて遺言状を作成しました(自筆ですが)。
まず、被相続人(繰り返しますが、亡くなった人です)の父母が、どちらかでも生存している場合は、法定相続人は、配偶者と、被相続人の父母となります。
法定相続分は、配偶者が3分の2、父母が3分の1(父母とも生存していれば6分の1ずつ)となります。
また、夫婦の父母が死んでいても、被相続人の兄弟姉妹が生存している場合には、法定相続人は、配偶者と、被相続人の兄弟姉妹となるのです。
法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
即ち、結婚相手が亡くなった配偶者は、子供がいないと、遺産の3分の1から4分の1を、被相続人の実家に持っていかれるわけです。
被相続人の家族が物分かりがよくて、遺産はいらないと言ってくれれば、すべては配偶者のものになります
ですが、お金が絡むと、なかなかそうはいかないものです。
特に、被相続人の兄弟姉妹となると、配偶者とかなり遠い存在ですので、揉めることはままあるようです。
(この項続きます)