固定費を減らすというのは、ファイナンシャルプランナー(FP)の常套句であり、その手段の一つが節約です。
FPは、顧客の家計簿を見て、あそこが無駄、ここが無駄と、さまざまな問題点を指摘します。
そして、これだけ固定費を減らせれば、家計はこんなに改善すると、胸を張ります。
節約自体は、決して間違ったことではありませんが、使い方を間違えると、労多くして功少なしという羽目に陥ります。
漕いでも漕いでも、進まない自転車のようなもので、後に残るのは、疲労のみです。
FPにわざわざ頼まなくても、日々の生活費の節約の方法は、あちこちの雑誌やネットに、嫌になるほど出ています。
そのことは、ダイエットと同じく、いろんな方法があっても、いかにそれを続けるのが困難であるかを、物語っています。
しかも、節約のみによっては、赤字を減らすことはできても、黒字を増やすことは、難しいです。
使っている額以上に、節約をすることは、神様でもできないからです。
例えば、節電家電の宣伝で、電気代を月に1万円減らせるようなことが書いてあっても、元々、電気代を月に1万円しか使っていない家庭では、それは不可能です。
それどころか、1割、月に千円減らすのも難しいでしょう。
というのは、月に1万円という電気代は、その家庭がこれまでに築き上げてきた、生活パターンの結果であり、生活に染みついているものだからです。
それを減らすには、家電を買い換えるのではなく、生活パターンを大きく変えるような根本的な解決をしないと、実現不可能です。
そういう意味では、節約とは、「貯金を無駄に減らさない工夫」でしかないと言えます。
困ったことに、日本人は、節約のような、ちょっとした「カイゼン」が得意であり、しかも、ドーパミンがガンガン出るのではと思われるほど大好きです。
しかしながら、カイゼンだけでは、貯金問題の根本的な解決にはなりません。
放っておいてもお金が貯まるような、仕組み作りが必要です。
その仕組みとは、何度も言うように、毎月の天引き預金と、共稼ぎです。
節約をするのは、その次です。
(この項、続きます)