さて、これまで述べた通り、日本の平均的なサラリーマンの年金は、月20万円(年間240万円)程度であり、老後に余裕をもって暮らすための資金としては、あまりに頼りがいがない(はっきり言うと足りない)ということが、わかったかと思います。
政府のレポートでは、その不足額を月に5.5万円としていました。これが、30年間続くということで、5.5*12*30=1980。ここから、2千万円不足問題となったわけです。
2千万円といえば、退職金の平均額がちょうどそれくらいです。しかも、大企業に勤めている人は、平均2千5百万円だそうです。
だとすれば、退職金を取り崩していけば、ちょうどやっていけると思う人も多いのではないでしょうか。
ですが、その考えは甘いと言わざるを得ません。
第1の問題は、退職金がすべて自分のものになるかということです。
例えば、住宅ローンが残っている人は、退職金のうちのいくらかを、住宅ローンの精算に回さなければなりません。また、子女が在学中の人は、そちらにもお金が必要になります。特に最近は、晩婚の人が多いせいもあり、まだ子女が在学中という知人が、結構いました。
これ以外にも、家の補修やら思いがけない病気やら、いろんなところに、計算外のお金が必要になってきます。